春風に乗って、陽光がキラキラと舞い降りる季節。
桜色の魔法が街を染め、心も軽やかに踊り出す。
そんな時、ふと立ち止まって、私は空を見上げる。
「幸せって、何だろう?」
雲の切れ間からこぼれ落ちる光のように、掴みそうで掴めない。
絵本に出てくる妖精のように、いたずらっぽく姿を隠してしまう。
魔法のレシピ
ある日、私は古びた本屋で不思議な本を見つけた。
「幸せのレシピ」と金色の文字が輝いている。
ページをめくると、そこには奇想天外な材料と手順が記されていた。
「満月の夜に摘んだ三日月のクローバー、虹の彼方にある妖精の涙、愛する人の笑顔……」
到底集められないような材料ばかり。
思わず本を閉じたその時、一筋の光が差し込み、本から小さな妖精が現れた。
「あなたに幸せを届けたい」
妖精の言葉に導かれ、私はレシピに書かれていた場所へ向かう。
険しい山道を登り、深い森を抜け、たどり着いたのは、満開の桜が咲き誇る草原だった。
そこには、レシピに書かれていた材料全てが揃っていた。
三日月のクローバーは、満月の光を浴びて銀色に輝いている。
虹の彼方にある妖精の涙は、朝露の中にきらめいている。
そして、愛する人の笑顔は、私の心の中に温かく広がる。
全ての材料を集め、私はレシピ通りに魔法の鍋をかき混ぜる。
すると、鍋から甘い香りが立ち上り、光が溢れ出した。
幸せのカタチ
光が消えた後、私の手には小さなガラス瓶があった。
瓶の中には、金色の粉末がキラキラと輝いている。
「これが、幸せの種です」
妖精の言葉に従い、私は種を手のひらに落とし、そっと目を閉じた。
すると、手のひらから温かい光が広がり、全身を包み込んだ。
目を開けると、世界が違って見えた。
桜の花びらがより鮮やかに輝き、鳥のさえずりがより美しく聞こえる。
風は優しく頬を撫で、太陽は温かく微笑んでいる。
永遠の宝物
あれから数年が経ち、私は様々な経験を積み重ねてきた。
喜び、悲しみ、成功、失敗…様々な感情を味わい、人生の酸いも甘いも知った。
それでも、どんな時でも、私はあの日のことを思い出す。
金色の粉末が手のひらから溢れ出した温かい光を、心の中に大切にしまっている。
幸せは、目に見えない。
手に取ることもできない。
でも、確かに存在する。
それは、愛する人の笑顔の中に、温かい言葉の中に、小さな幸せの積み重ねの中に……。
そして、何より自分の心の中に。
あなただけの幸せ
幸せの形は、人それぞれ違う。
誰かにとっての幸せは、お金や名誉かもしれない。
また、誰かにとっての幸せは、愛する人との時間かもしれない。
大切なのは、自分が何に喜びを感じ、何に幸せを感じるのかを知ること。
そして、その幸せを大切に育むこと。
幸せは、魔法のように突然現れるものではない。
でも、探し続ければ、必ず見つけられる。
あなただけの、特別な幸せを。
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